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日常の記録

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シロはどこへ行った?5

なんと、その物体、いや、その動物は、トトロだったのです。
そうです。あのトトロなのです。
いや、まさか。でも、何度見てもトトロなのでした。
名前は知らないあの小トトロみたいな動物も一緒です。
トトロは小さな庭を、浅田真央顔負けに、クルクルと周りだしました。
すると地面から、小さな芽が一斉に生えだしました。
その芽は、瞬く間に成長し、あっというまに花が咲いて、
おばさんの小さな庭は、色とりどりの花でいっぱいになりました。
そして、暗闇の中なのに、おばさんの庭だけ花で光りだしました。

おばさんは、その時、忘れていた夢を思い出したのでした。

この家に来た頃、おばさんの夢は、この小さな庭を
色とりどりの花で一杯にすることでした。
おばさんは、いくつも種を撒きました。
くる日もくる日も水やりしながら、どんな花が咲くのかと、
とても愉しみに庭を見るのが日課になっていました。
でも、一年、二年、三年、いつまで経っても花どころか、芽も出ないのでした。

いつしか、おばさんは、水やりをサボるようになり、
なるべく、小さな庭を見ないようになり、
ついには、そんな夢を持っていたことすら忘れていたのでした。

おばさんは、花でいっぱいの庭を見て、心がとても熱くなりました。
思わずギュっと強くウサギを抱きしめました。
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シロはどこへ行った?4

タンタンタン。
おばさんは、その音で目を覚ましました。
知らぬ間に庭で疲れ果てて眠ってしまっていたのです。
もう、辺りは真っ暗になっていました。

タンタンタン。
その音はウサギが地面を足で踏み鳴らしていたものでした。
なんだか、ウサギは何かに怒っているようです。
でも、おばさんは、まだ寝ぼけ眼で、二度寝をしてしまいそうでした。

タンタンタン!
もっと激しくウサギは足を踏み鳴らします。
その音でようやくおばさんは、目を覚ましました。
すると、前方でとても大きな何かが動いているのが見えました。
おばさんは、慌ててウサギを抱きかかえ庭の隅へ移動したのでした。

大きな物体は、ゆっくりながらおばさんの近くにやってきます。
目を凝らして、息をころしながら、その動いている物体を見つめます。
暗闇に目が慣れた頃、ついにその正体が分かり、おばさんは心の底から驚きました。

シロはどこへ行った?3

あの雑音たちが、雑音に聞こえなくなったのでした。

子供は、楽しそうに笑い
犬は元気に歌い
特に阪急電車は家を笑わせながら通りすぎるように感じるのでした。

おばさんも久しぶりに鼻歌を歌いながら料理を作っています。
そうです、おばさんの家はこの時から楽しい音に包まれ出したのでした。

その頃、一生懸命ウサギは庭で穴を掘ります。
おばさんの小さな庭は何年も放置されていたので荒れ放題でした。
土は、コンクリートのような固さになっていました。
それでも、ウサギは一生懸命穴を掘ります。
いつまでも、楽しそうに土を掘っているのです。
そこに、なにかあるからではなく、
ウサギは、そこに土があったなら、掘らずには、いられないのでした。
掘りたいから、掘るのが好きだから、ただ、無心に土を掘っているのでした。

おばさんが、食事を終え、ウサギの様子を見にやってきました。
ウサギはおばさんを見つけてそばに寄って来ました。

おばさんは、ウサギの顔を見てびっくりしました。
折角の可愛い顔がドロだらけです。
折角の真っ白な毛並みが土色になっています。

おばさんは、小さな庭を見渡してもう一度びっくりしました。
庭中穴ぼこだらけです。
もともと荒れた庭だったけれど、今はもっともっと荒れています。
おばさんは、一瞬カッとなってウサギを叱ろうとしましたが、
それを大きなため息に変えて、寄ってきたドロだらけのウサギを優しく撫でました。
無邪気なウサギの目を見て、怒る気持ちがフっと消えたからでした。

そして、決心すると、おばさんもドロだらけになりながら、
ウサギの掘った穴を今度は埋める作業をし始めました。
ウサギは穴を掘ります。おばさんは、穴を埋めます。
日がくれるまで、それがずっと繰り返されたのでした。

シロはどこへ行った?2

おばさんは、迷わずそのウサギを家に連れて帰りました。

だけど、家に着くとさっき見せた親近感もどこへやら
ケージの中のウサギは、ちょっと警戒しているのか、全くおばさんと目を合わせようとしません。
ただ黙々と一生懸命毛づくろいをしています。
おばさんは、ちょっと淋しくなりました。
だって、すぐに仲良くなれると思っていたからです。
すると、時折ウサギが窮屈そうに伸びをしています。
もしかして、一緒に買ったケージが、もうこのウサギには小さいのかも知れない。
そう思い、、おばさんは、家の小さな庭に放してみたのでした。

ケージから出されたウサギは最初は庭の隅で、うずくまっていましたが、
しばらくすると二本足で立ち、耳をピンと張って、周りをキョロキョロ見回し出しました。
その様子を興味深深におばさんは見ています。
ウサギは跳ねながら色々なとこに行きましたが、
最後はおばさんの前までやってきました。

おばさんは、嬉しくなり、ちょっとドキドキしながら
できるだけ優しくウサギを撫でました。
でも、おばさんの手は、初めてウサギを触る緊張から、ちょっと震えていました。
そして、撫でられているウサギの身体も少し硬くなり、どこかぎこちないのでした。

それでも、この時おばさんは、とても心が温かくなりました。
なんとなくウサギと心が通じたようなそんな気がしたからでした。

すると不思議な変化がその時から起こりはじめたのです。

シロはどこへ行った?

今、今(昔、昔の逆)
ウシトラの地に夢を見ないおばさんが一人おりました。
そのおばさんは、ひとりぼっちで住んでいて
慢性のめんどくさがりが災いし、友達もいませんでしたから
テレビが唯一の気晴らしでした。

しかし、最近どのチャンネルも面白くありません。
しかたなくテレビを消すと、今度は聞きたくない色んな雑音が聞こえてくるのでした。
犬の鳴く声、子供の泣く甲高い声、車、バイク、ヘリコプター、
特に阪急電車は家まで揺らしながら騒音を立てるのでした。
しばらくすると、おばさんの静かな家にあるのは、聞きたくない雑音だけになりました。

ある日、おばさんは発狂しそうになって、家をとび出しました。
このままではいけなと、向かった先は、ペットショップでした。
自分の孤独を和らげようと、ペットを飼おうと、おばさんは思ったからでした。

そこには、愛くるしい可愛い犬、綺麗なネコ、色んな種類の動物達がいました。
動物好きなおばさんは、しらずしらず笑みがこぼれます。
しかし、おばさんは値段を見て愕然としました。
とても高額で、無職のおばさんには到底用意できる金額ではなかったからです。

肩を落としながら、帰ろうと思ったその時、店の隅に一匹のウサギがいることに気づきました。
そのウサギはかなり大きくなっていて、5000円の文字が2000円に変更されていたのでした。
吸い寄せられるように、おばさんは、ウサギの近くに寄っていきました。
真っ白な毛に大きな黒目を持つそのウサギは、じっとおばさんの目を見つめます。
おばさんも、ウサギのその目を見つめます。

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