なんと、その物体、いや、その動物は、トトロだったのです。
そうです。あのトトロなのです。
いや、まさか。でも、何度見てもトトロなのでした。
名前は知らないあの小トトロみたいな動物も一緒です。
トトロは小さな庭を、浅田真央顔負けに、クルクルと周りだしました。
すると地面から、小さな芽が一斉に生えだしました。
その芽は、瞬く間に成長し、あっというまに花が咲いて、
おばさんの小さな庭は、色とりどりの花でいっぱいになりました。
そして、暗闇の中なのに、おばさんの庭だけ花で光りだしました。
おばさんは、その時、忘れていた夢を思い出したのでした。
この家に来た頃、おばさんの夢は、この小さな庭を
色とりどりの花で一杯にすることでした。
おばさんは、いくつも種を撒きました。
くる日もくる日も水やりしながら、どんな花が咲くのかと、
とても愉しみに庭を見るのが日課になっていました。
でも、一年、二年、三年、いつまで経っても花どころか、芽も出ないのでした。
いつしか、おばさんは、水やりをサボるようになり、
なるべく、小さな庭を見ないようになり、
ついには、そんな夢を持っていたことすら忘れていたのでした。
おばさんは、花でいっぱいの庭を見て、心がとても熱くなりました。
思わずギュっと強くウサギを抱きしめました。
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