風が流れているのが見えた。
こんなに素敵に見えるのは夢だから?
楽しい気分が僕を包む。
なのにその瞬間、僕の背中に強風がぶつかった。
僕は思わず前のめりになり、一歩前へ。
するとわずかに動いただけなのに
さっきまでいた場所が分からなくなってしまった。
慌てる僕にはもう、風の流れは見えなくなった。
どうしてももう一回、風の流れを見たかった僕は、
自分で風を作ろうと、何度も大きく深呼吸してみた。
何度も何度も繰り返す。
もういいかげん嫌になりかけた時、
風が止まったような気がして辺りをみると
僕は元の場所に戻っていた。
すると風が流れ出したのが見えた。
でも夢じゃない現実がそこには流れていた。
それなのに、こんなに美しく見えるのは何故だろう?
こんなに楽しく見えるのは何故だろう?
考えても分からない事は、答えは一つとは限らない。
分かる時がくるまでゆっくり待てばいい。
今度強風が吹いても僕はもう慌てないだろう。
この場所をきっと思い出せるから。